2010.05.29
これもフロマンガ?! 湯けむりスナイパー
“お風呂”がマンガのメインテーマになるなんて考えてもいませんでしたが、「第14回手塚治虫文化賞」と「2010年のマンガ大賞」のダブル受賞した話題作『テルマエ・ロマエ(ヤマザキマリ)』、あるいは、『フロマンガ(吉田戦車)』が世に出て、にわかに“風呂マンガ”なる新ジャンルが確立された感があります。(しかし、追随する作品は果たして出てくるのか?)
さて、そんな“風呂マンガ”にはくくれない気もしますが、毎回のように露天風呂が登場し、温泉地の情緒を漂わせるのが『湯けむりスナイパー(原作・ひじかた憂峰※狩撫 麻礼の別名義 作画・松森正)』です。
殺し屋家業から身を引いて、第二の人生を密やかに送るために職を求めてやってきたのが秘境の温泉旅館「椿屋」。この“源さん”の周囲に起こるさまざまな出来事や各々事情を抱えた人間たちとの出会いを描くヒューマンドラマ。2009年にテレビ東京でドラマ化されました(見逃したのでDVDで見よう...)。
元ストリッパーで普段は女性の魅力のかけらもないように見るが、メイクで超絶美人に変身。椿屋で女体盛り(体の周囲に刺身など食べ物を盛り付ける)のアルバイトをする山岸トモヨ。山奥の炭焼き小屋に一人で住み、マツタケ狩りの名人で孤独ではあるが女性にモテたいと悩みつづける松三など、魅力のキャラクターが満載。
秘境の、もう行き場の無い場所に集い生きる人々の悲哀、そして人情に触れ、ほんわかと心あたたまるのです。
“あたたまる”ということで、やはりこれはこれで“風呂マンガ”として個人的には認定したい。
この「椿屋」という温泉旅館の外観は、実在する老舗旅館「会津東山温泉 向瀧(むかいたき)」がモデルなのだとか。 行ってみたい。
(Manabu)