日本のお風呂をもっと楽しもう『湯の国』
お風呂をもっと快適に、お風呂をもっと楽しむために
湯煙コラム

Vol. 75 徳澤青弦

娘が生まれて変化したバスタイム

徳澤青弦(とくざわ せいげん)

1976年生まれ、東京出身。チェリスト・作曲・編曲家。
たくさんの著名アーティストのレコーディングやライヴサポートをしている。主にさだまさしのツアーサポートなどがある。anonymass、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール、the HIATUS、world’s end girlfriend & POLTERGEIST ensemble、UooBなどでバンド活動する。最近では林正樹、トウヤマタケオ等と組んでデュオやソロのライブも催している。またラーメンズ・小林賢太郎の舞台音楽制作に携わり、評判に後押しされてソロアルバムをいくつかリリースするまでに至っている。

オフィシャルサイト SEIGENTOKUZAWA
 
子どものころは、正直言ってお風呂が好きではありませんでした。もともと面倒くさがりな性分なので、その頃のぼくにとってお風呂の湯は熱いし、脱衣所や洗い場は寒いしで…。大人になっても、お風呂にはあまりこだわりがなく、独身時代はずっとシャワー中心の生活でした。ところが結婚して子どもが生まれてからは、その暮らしが一変。ぼくが娘のお風呂係になり、演奏のために地方に行っているとき以外は、とにかく毎日きちんと湯船にお湯をためて入るように心がけています。
ぼくの小さいころは親に「肩までお湯に浸かりなさい」なんて言われていましたが、それではあまり長く入れないので、湯冷めの元になってしまうと今では聞いています。ですので、娘と一緒に入るときは半身浴でじっくり体を温めるようにしています。お風呂の中で遊んで充分に時間を使えるように、スーパーボールやじょうろ、それにマグネット式の釣りセットなどのおもちゃを持ちこんでいるんですよ。
子どものおかげでお風呂に対する認識が変わったので、バスアイテムもいろいろこだわるようになってきました。個人的には、ここしばらく「せっけんシャンプー」が気に入っています。最初は夫婦そろって乾燥肌に悩まされていたため、使い始めました。ぼくの友人で、バスタイムには石鹸類をまったく使わずにお湯で体をマッサージするだけという人がいるのですが、本来、それが一番理想的だなと思っています。

そもそも人間の体というのは、刺激すればするほど過剰に皮脂を分泌してしまい、洗いすぎると肌は乾燥するばかりか、さらに汚れやすくなったり、肌荒れの原因を作ったりするのだと聞いたことがあります。それに、むかしと違って毎日お風呂に入れる環境が整っている現代ですから、手洗いやうがいなどで身の回りの衛生に注意していれば、そんなにゴシゴシしすぎない方がいいかなと思っています。
自宅では子どもと楽しんでいるお風呂ですが、仕事で地方へ行ったとき欠かせないのは、地元ならではの温泉。これまでで一番印象に残っているのは、秋田県にある「玉川温泉」ですね。長時間入らないように注意書きがある程の強烈な酸性湯です。不思議なことに、身体の悪いところを狙って特にピリピリと刺激が強くなります。とても歴史の深い温泉ですので、大病を治すためにここに訪れる方々が後を絶えません。山梨県の小淵沢に点在する温泉も、絶景だったり素晴らしい泉質だったりしてそれぞれに特徴があり、どこに入っても飽きません。

広い温泉でゆったり時間を過ごすとき、近視のぼくはメガネを外すと周りの風景がほとんど見えず、楽しみも半減してしまうことが悩みでした。だから最近は、少々曇ってもメガネをかけたまま入ることにしているんです。さまざまな温泉にいくたび、一口に「お風呂」といっても、お湯を楽しみ、室内の雰囲気を楽しみ、素朴な木の香りや風景、明るさと暗さ、人との交流を楽しむなど、本当にたくさんの魅力があるものだなあと、実感しています。
小さなころは分からなかったお風呂の良さですが、大人になり家族が増え、いろいろな体験をしていくなかで、しっかりと毎日に組み込まれていることに、改めて気づきました。

文/徳澤青弦(とくざわ せいげん)


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