欧州のバスルーム最前線2 〜インテリアとバスルームのさらなる融合
今回の特集は、昨年お届けして大好評だった「欧州のバスルーム最前線」の第二弾です。ヨーロッパの国際見本市を取材されてきた、ライフスタイルジャーナリスト 本間美紀さんに、イタリア発のバスルームインテリアをご紹介いただきました!
※前回の記事はこちら「欧州のバスルーム最前線・デコラティブで存在感増す、インテリアバスの時代に」)
1)プラスチックのデザイン家具の強み
2)バスルームから発展するインテリア
3)石の建築とバスルームの関係とは?
以前の特集で、インテリア化するバスルーム、というテーマで執筆しましたが、ヨーロッパのバスルームはその後も、多様な進化を遂げているようです。
最近、ヨーロッパのバスルームブランドは、家具や照明などとあわせてデザインし提案する「ライフスタイルブランド」化が進んでいるようなのです。
このお店、何だと思いますか?
とてもキレイですよね。
プラスチック家具とバスルームのコーディネートを提案するショールーム「カルテル×ラウフェン」。場所はイタリア・ミラノです。
イタリアのプラスチック家具のブランド・カルテルは、バケツや車のキャリーパーツなど、生活のための樹脂製品を作る会社として創業した会社ですが、現在はプラスチックでしか実現しえない美しい家具をつくっています。
次の写真はまた別のミラノのフラッグシップストア。きれいです!
背景としては、イタリアは木や革の家具の伝統が強いため、プラスチックの家具は生活用品としての位置づけになりがちです。けれども複雑なかたちなどの加工性や耐久性にはすぐれています。そこで独自の路線を打ち出しているのです。
たとえばこのガラスに見えるようなテーブルもプラスチック製。緻密な造型の技術があるブランドなのです。
プラスチックは水に強い。そこで通常の家具ではできない、バスルーム用の家具をつくることができます。
衛生ボウルをつくるブランド、ラウフェン社とタッグを組んで、デザイン家具+バスルームのお店もついにつくってしまったのです。
ラウフェンというバスルームのブランドは、薄くシャープな洗面ボウルやバスタブをつくることができます(技術的には大変なことだそう)。
それに合わせて、薄く透明なプラスチックでシェルフなどをつくり、水の透明感をイメージさせる家具を合わせてコーディネートできるようにしています。
バスルームに置かれるものは、タオルや石けん、シャンプーなどごちゃごちゃしたものが多いので、シェルフはすっきりとした構造。汚れもたまりにくそう。
メタリックな仕上げもあります。ゴージャスな雰囲気に。
とてもエレガントですがこれもプラスチック製です。
プラスチックという素材とデザインが、インテリア志向のバスルーム空間を楽しく彩っています。
そしてバスルーム発のインテリアも登場です。
イタリアの「Ex.t」というブランドは、バスタブや洗面台とおそろいの家具を発表しました。
ミニマリズムデザイン(余計な装飾を削ぎ落として、最小限に抑えるデザイン)として、デンマークの建築家チームが手がけたものですが、バスルームや洗面台って意外と細かなものがいろいろ置かれるところ。
これくらいシンプルな方が、実際に暮らしの中でなじむのかもしれません。
レッグは鋳造鉄ですが、細くすることで軽くなったそうです。
倒れそう?!って心の中で思ってしまう自立型の洗面台。収納はないの?と思いますが、ここがイタリアのセンス。同じテイストで壁に直接取り付けるシェルフがあり、洗面台やバスタブとお揃いでコーディネートすることができます。ミラー、タオル掛けが一体になっているのにも注目。
モダンなバスタブとおそろいにできる壁付けシェルフもあります。
さらにバスルーム以外で兼用できる家具もありました。木のボックスシェルフです。洗面台の下のスペースに自由に組み合わせて置くことができます。
家族で使い分けるのも良さそうですね。
右のようにキッチンでも使えます!
こちらはベンチですが、日本ではお風呂上がりの縁台を思い出します。 寝室に持って行けば、ベッドのレストテーブルになりますね。なんてコトはな いのですが、バスルームや洗面から発想して、他の部屋の家具とイメージを統一しようという発想は、これまで意外となかったように思えます。
また、この分野ではアガペというブランドが世界的に有名ですが、自立して部屋の中央に置くバスタブは、ヨーロッパではおなじみのアイテムです。
そんなブランドが最近出しているのが、こちらの石の家具です。
実はイタリアのバス製品は石の文化からきているのです。石造りの建築、タイル、彫刻。イタリアは世界屈指の天然石の産出と加工の大国。昔から、衛生陶器の製造も盛んでした。バスタブ、洗面ボウルメーカーは石の加工に長けているのです。
そこでその技術を使って、石の家具をつくってしまったのです。日本人には重厚すぎる家具ですが、イタリアのように骨格がはっきりして、石の建物が多い国では、家具もこれぐらい存在感が強くて丁度いいくらい。とはいえ、特殊な家具だとは思いますが、バスルームブランドがここまで本気で家具をつくってしまうのがすごいですね。
キッチンや家具は、家で使っているところを実際に取材することができるのですが、バスルームやトイレはプライベートな空間なので、このような商品が実際に使われている生活空間を見ることは難しいですね。その使い勝手などは気になるところです。
おしゃれな写真ばかり並べましたが、入浴文化って深いなあ、といつも思いながら書いているのです。
取材・文/本間美紀
【今回の特集で登場したイタリアブランド】
[カルテル] http://www.kartell.com
[Ex.t] http://www.ex-t.com
[Agape] http://www.agapedesign.it
※日本での発売予定はすべて未定です。