日本のお風呂をもっと楽しもう『湯の国』
お風呂をもっと快適に、お風呂をもっと楽しむために
湯煙コラム

Vol. 116 大宮エリー

私の本は、お風呂での読書向き!?

大宮エリー(おおみやえりー)

作家・脚本家・映画監督・演出家・CMディレクター・CMプランナー。広告代理店勤務を経て、2006年に独立。映画「海でのはなし。」で映画監督デビュー。主な著書に『生きるコント』『思いを伝えるということ』『物語の生まれる場所』『猫のマルモ』『なんとか生きてますッ』など。活動は多岐に渡り、舞台の作演出、ドラマの脚本・演出も手がけている。2016年には美術館で初の個展「シンシアリー・ユアーズ」(十和田市現代美術館)を開催。同時期に商店街を使ったパブリックアートを手がけ、初の写真展も行った。


大宮エリー公式サイト http://ellie-office.com/
 
お風呂、好きですね。朝起きたら入って、家にいれば昼に入って、寝る前にまた入る。夏でも冬でもお湯に浸かります。だって、あったかいのって楽しいじゃないですか(笑。
自宅のお風呂に入るときは、たいてい入浴剤をいれます。いろいろ試していますが、お塩をいれるのも好き。神社巡りが趣味なので、御神塩があれば買っておいて、「今日は○○神社でいこう」とその日の気分に合わせます。ふくぎ(クロモジ)やヒノキ玉、それから富山で買った遠赤外線を発する石とか、天然素材のものが多いですね。

引っ越しするときの部屋選びは、まずお風呂。不動産屋さんに「外せない条件の一番がお風呂ですか」って驚かれました。まず浴室に窓があること、それからバスタブが足をのばせるサイズであること。そういう浴室での朝風呂は最高ですよ。窓から朝日が差し込んできれいだな〜って、お湯に浸かっていると本当に喜びを感じます。
お仕事をご依頼いただく際、近くに温泉地があれば、予定が許す限り受けています。福島市の土湯温泉で行った音楽祭「アラフドミュージック」にも参加したし、青森の十和田市現代美術館で個展を開催したときも、地元の温泉をいっぱい回りました。最近は朗読会に参加することが増えたのですが、中原中也の生誕祭で朗読会に呼んでいただいたときは、湯田温泉ということで、まさに温泉地での仕事。ハードスケジュールのなか、のんびりプライベードで温泉へ行ける雰囲気ではないので、仕事にかこつけられると本当に嬉しいです(笑。
私はお風呂の中で本を読みませんが、私の著書はなぜかお風呂で読まれることが多いみたいです。友達から、「本がヨレヨレになったから、新しいのに買い替えた」って話をよく聞いて、なんでそんな状態になるのかというと、お風呂の中で読んでいるからと。
書き手としては、自分の本が裸で読まれているのって不思議な気分です。でも楽しんでもらえているならいいのかな。きっとお風呂での読書に向いているのでしょうね。
これはエッセイにも書いたのですが、たまには親孝行をと思って母を高級温泉旅館に連れていったんです。そうしたら、大浴場でお湯に浸かりながら歯を磨き始めたんですよ。隣からシャカシャカ音がするから、あわてて注意したら「絶対に(口から)垂らさへん!」ってキッパリ返されました。人の親なら微笑ましいんですけど、自分の親だとかなり恥ずかしい。でも、何でも可笑しく持っていけるようになったのは、こんな母のおかげかもしれません。

例えば、まだ会社員だったときに、重要なプレゼンに行ったら、後輩がものすごく短いスカートを履いてきたんです。クライアント先でこれはないだろうって思うくらい短い。でも彼女を「わが社のミニスカポリスです!」って紹介したら、お〜って場が和んだんですよね。いつの間にか、困った状況も笑いで打破できる力が身についたんでしょう。
私には夢や将来こうなりたりというのがないんです。自分の中に伝えたいことがあるというよりも、その時々で楽しんでもらうにはどうすればいいのかを常に考えているだけ。
以前は夢や目標がないのがコンプレックスだったけど、いまは私の文章で人が笑ったり、ホロッとしてくれるだけで十分じゃないかと。「自分なんかいなくてもいいや」って感じている人が、人生は自分のために生きればいいんだと、少しだけ前向きになれるものを書ければいいなと思っています。

話/大宮エリー


見えないものが教えてくれたこと ■大宮エリーさん 新刊情報
CMディレクターとして卓抜なる才能を発揮。フリー転身後、映画監督、映像ディレクター、演出家、脚本家、コピーライター、作家、ラジオパーソナリティーなどジャンルを越えて、表現の領域を拡張し続ける著者初の写真集。

撮影地は沖縄・久高島とオーストラリア・ウルル(アボリジニの呼び名。エアーズロック)。
光に導かれ、風に吹かれ、たどり着いたパワースポットで、心を穏やかにする、出会うべくして出会った風景とは。
愛に満ちたメッセージとともに、心を捉えた風景が甦る。

「この光景を見るために
この地に、この時間に
来ることになっていたんだなぁと分かる。

みなさんが、めくるたび、旅をして
見えないものに出会い、何かを感じ
嬉しい気持ちに満たされます様に。
ただただ幸せな気持ちに
あるいは心がまっさらに洗い流されますように。

大宮エリーより」

読むと不思議と心が凪ぎ、生きる力が充ちてくる、みるひと全ての心が洗われていく写真集。

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