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> vol.7 建築家:椎名英三-トップライトから宇宙を-
人間関係によってできた社会の中にではなく、大いなる広がりを持った宇宙の中にこそ自身の生を位置づけたいという想いから、この家を「宇宙を望む家」と名付けることにした。浴室は南面し、トップライトからは陽光が入り、緑の葉を揺らして風が通り抜けていく。ガラスで仕切られた隣接するリビングから見ると、そこは光に溢れたインテリアの庭であり、18坪の小住宅にとって1坪以上ある浴室は、使用されていない時においてもリビングの内部空間に確実に参加している。
居間からは一枚のガラスで仕切られたその場所に好奇心と羞恥を共に足を運ぶ。天窓からの月光のみが頼りの静寂な空間は水の音さえ大きく響き、気体の動きさえ感じる。灯りの落とされた居間は終わりのない闇だ。深夜の広大なサバンナの泉で彷徨う様な恐怖に似た緊張感も、やがていつか感じたあの安堵間に変わっていった。永く眠っていた己の奥の本能が呼び起こされた様だ。風呂に入るという言葉以上に意味のある体感がそこにあった。