建築家・北川原温リゾート浴室：お風呂を楽しむ『湯の国』

この浴室は眺めのよい屋上の庭に突き出している。朝は射込んでくる東の光の中で顔を洗うと目が覚める。休日の昼は庭に寝転がって空を見たり猫と遊んだり、少し身体を動かして汗をかきシャワーを浴びる。夜は湯につかりながら桜の木の上の月を見たり、バリ島から運んだカエルやガネーシャの石彫が草花の陰の薄明かりの中に佇んでいるのをぼんやり眺める。

だいたい注文どおりに出来ているが、デッキチェアーや小さなテーブルを置けるスペースが欲しかった。ガラス張りなので冬は寒くて夏は暑いと思っていたら、意外に快適。南洋の植物も良く育つ。洗い場のスノコ板は肌触りはよいが外して洗うのがたいへん。庭と浴室の床のレベルが同じせいか、内と外が連続して緑に囲まれている感じがとても気に入っている。湯につかりながら本が読める工夫については一考の余地あり。