老後を楽しく気持ちよく暮らしたい高崎さんが新しい家に望んだのは、「子どもも独立したし、住むのは夫婦2人。来客は少ないから客間はいらないし、見られて困るものもないから仕切りも不要。大きなワンルームのあちこちにキッチンやベッド、トイレやお風呂があればいい」という大胆なものでした。 しかし、「せめてバスルームだけは囲いましょう」と建築家が提唱したのが、住まいのほぼ中央に位 置する円筒形の部屋。オープンな住まいの視線を遮るうえ、中に入ると井戸の底にいるような静かな雰囲気に包まれます。頭上からこぼれ落ちる光、楽しげでやわらかな色調のタイル。五感が刺激される空間です。
高崎さんの家を設計したのは、建築家の唐崎哲志さん。いつもは「すべての希望がかなう家はむずかしいから、何が一番大切か考えましょう」とすすめますが、今回ばかりはご夫妻の積極的な姿勢にびっくり。トイレやバスルームまでオープンにするのもいいけど、こんな案はどうですか? と提案したのが、実現したプランです。 |