日本人にとって、お湯につかるという習慣は、かなり古くからのものでした。時代と共に姿を変えてきたお風呂。ここでは、昔ながらのお風呂を2つ紹介します。
<五衛門風呂>
鎌倉時代には、浴槽の下から直接お湯を沸かす、じか焚き方式のお風呂がすでにありました。これが「五衛門風呂」の祖形です。五衛門風呂は、じか焚き方式の小型のもので、枯木、落葉、紙屑などなんでも焚け、早く湧くことから、一般家庭用に多く用いられました。このお風呂には蓋がなく、入浴の時に足で下に押し込む円形のすのこ式のものを、上に浮かせて、蓋の代わりにしていました。この板は「ゲス板」と呼ばれていました。
<子持風呂>
江戸時代には、浴槽の外側に別の湯沸釜が付いていて、釜と浴槽とを2つのパイプで連結し、釜の湯が沸くと自動的に湯が浴槽に循環するというお風呂が登場しました。これが「子持風呂」と呼ばれる外釜式の桶風呂で、現代の風呂釜の原点ともいえます。明治時代に発明された巴式の風呂釜も、この子持風呂の一種です。
出典/斉藤秀雄「風呂の歴史」