六龍鉱泉のお湯は、茶褐色で歴とした温泉である。
脱衣所に年季の入った温泉証明書が掲げられていたので、ふむふむと何気なく読んでみると、「東京市衛生研究所」の文字が。東京市? 都内にそんな市、あったっけ?
女将さんに聞いてみると、この証明書は昭和6年のもので、昭和ヒト桁時代、まだ東京都は「東京市」だったという。つまり70年以上前の証明書ということだ。
70年前にしてはきれいに保存されており、効能書きも筆書きで添えられている。
このようなレトロな証明書が、きちんと管理されていることに感動すら覚えてしまい、お湯の熱さも効能のひとつだと、あわててもう一度湯船に浸かったりする。
……ソノ気になりやすい性格である。 |