昭和四十年代が安全性の追求だったのに対し、五十年代以降は、利便性追求の時代といえます。マイクロエレクトロニクス技術が追うようされた様々な技術開発が進み、消費者の多様な要望に応えられるようになり、台所やお風呂などの水まわりはどんどん便利になりました。
それまで風呂釜の設置可能な場所は選択の余地が少なく、浴室の場所が制約されていましたが、設置フリーに向けて技術が進んだことによって、住まいを設計する上で、好きな場所に浴室を設けることが可能になっていきました。五十一年には耐風.耐雨対策を備えた、屋外風呂釜が登場しました、家の外壁に面した場所に設置する屋外据置型や、家の外壁を利用して設置できる屋外壁掛型があり、ユニットバスの普及と相まって、二階の寝室近くに浴室を設けるなど、ライフスタイルに合わせて浴室の位置や数を決められるようになりました。
五十四年には、給湯器と風呂釜がドッキングした、給湯器付風呂釜が登場しました。四十年代までは、台所は小型湯沸かし器、お風呂には風呂釜というように、個別にお湯を沸かす方式が一般的でしたが、一台でお風呂、台所、洗面所の三ケ所でお湯が使えるようになりました。洗面所でもお湯が使えるなり、六十年代の朝シャンブームへとつながっていきます。
五十年代末には「全自動風呂給湯器」が発売され、台所からリモコンのスイッチを押すだけで、お風呂を沸せるようになりました。「適量・適温」で自動にストップするので、お風呂をあふれさせたり、沸かし過ぎたりすることがなくなりました。